【育苗管理①】 温度管理編
苗を一定期間、人工的な環境下で発芽・育成させ、その後田畑に移植すること
■育苗の効果
発芽・育成時期においては、気温・風雨などの影響を強く受けやすいので、一定期間人工的に管理された環境下にて保育することは極めて有益。
また、育苗トレイ1箱のサイズは「30㎝×60㎝」で、この小さなスペースで200本の苗を管理できます。例えば、1000株のカブを育てるために、畑に直接種をまいて育てる場合は、約1m×2.5mのスペースが必要ですが、育苗だと、5トレイ(60㎝×1.5m)で管理が可能です。しかも1か所で管理ができるため、作業の省力化になります。


■育苗の重要性
人間よりも植物は圧倒的に強く生きていますが、野菜は人間同様、生まれてから自立できるまでの期間は、その後の野菜人生を大きく左右するもっとも重要な成長段階です。幼少期に、愛情たっぷり、適切な環境を提供することで、野菜たちは病気や虫に負けることなく、素直に育っていきます。少ない経験値ですが、そんな気がします。
だから、「苗づくり」には細心の注意とまごころを込めます。
■育苗で重要な条件
「温度」「水」「空気」「光」「土」
これらをコントロールして適切な環境を作ることで、苗は健康的に育ちます。
その中で特に重要でコントロールが難しいのが「温度」管理。
種が発芽するために必要な温度は、野菜の種類により差はありますが、おおよそ、15℃~25℃です。これ以上でも以下でもうまく発芽しませんし、発芽しても元気な苗になりません。
「信州松代 みやざき農園」の育苗における「温度管理」は太陽熱を活用した管理方法です
ハウスを閉め切って外気をできるだけ遮断すると、外気温が氷点下でも、天気の良い日は、日中のハウス内温度が30度以上に上がります。この太陽熱を利用して冬の寒い時期でも苗たちにとって快適な温度を作ってあげます。
具体的には、ハウスを開けたり閉めたりして温度を上げ下げします。かなり原始的な方法です。また、特に夜間は気温が氷点下となるので、ビニールで何重にも被覆してあげて、日中に温まった温度をできる限り下げないようにしてあげます。農業用のビニール1枚で外気温との差を約1℃つけることができます(農大で教えてもらいました)。これを利用して、夜ビニールを5枚かけて就寝してもらっています。5枚かけると外よりも6℃~8℃温度が高い状態を保つことができます。トレイの下にも断熱シートを敷き、放射冷却による温度低下を防ぎます。



それでもなかなか快適な環境を作ってあげることが難しいので、苗たちには苦労をかけますが、あとは「頑張れ!」と声がけをして応援してあげることしかできません。


こんな感じで、毎日何回も育苗ハウスの様子を確認しながら、わが子のように育てています。育苗さえうまくいけば、半分は成功です。
2月から6月までは育苗の最盛期。春の訪れとともに、だんだんと忙しい日々がやってきます。
苦労するが、その後の成長を考えるとワクワクです。
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